エステ経営の人件費・原価・広告費。先に置く比率
監修:猪越理恵(サン・ティトル株式会社 代表取締役)

【結論】エステ経営の指標とは、売上に対する原価・人件費・広告費などの比率を先に決め、投資と採用の可否を判断する数字です。
- 施術商材は設定金額の10%未満が理想です。
- 人件費は総売上の45〜50%未満(社会保険料込み)が理想です。
- 広告は新客とリピートを分け、5%未満が理想です。
この記事では、開業後に数字が苦しい人、採用や広告を増やそうとしている人向けに、マニュアルの比率を解説します。
エステ経営の指標とは何か
感覚の忙しさではなく、売上に対する費目の割合です。猪越理恵が法人のサロン開発や教育で見てきた現場でも、人件費と家賃が先に膨らむと技術投資が後回しになります。
マニュアルの理想比率
| 費目 | 理想 |
|---|---|
| 施術商材原価 | トリートメント設定金額の10%未満 |
| 人件費 | 総売上の45〜50%未満(社会保険料含む) |
| 広告宣伝費 | 5%未満(新客/リピートを分けて設定) |

物販在庫
物販は目標販売金額に対する適正在庫を常に把握します。倉庫に眠る商品は、見た目の売上ではなく現金を減らします。
採用する前に
人を足すと人件費率が跳ねます。助成金は後払いです。先に1人あたりの売上と、45〜50%に収まる人件費総額を計算します。
なぜ忙しさではなく、比率で止めるのか

マニュアルの理想は、施術商材10%未満、人件費45〜50%未満(社会保険料込み)、広告5%未満です。罰則ではなく、翌月のメニューとシフトで戻すための線です。忙しいのに現金が残らない月は、分母の売上より先に、人件費と家賃と広告が膨らんでいることが多いです。
猪越理恵の公開経歴にある法人へのサロン開発・教育支援でも、人件費と家賃が先に膨らむと技術投資が後回しになります。体験談は作りません。比率を先に置く理由だけを書きます。
一人店と雇用店で、見る行が違う
| 体制 | 先に置く行 | 誤りやすい行 |
|---|---|---|
| 一人店 | 自分の生活費を、売上から取る実質の人件費として置く | 人件費ゼロで広告だけ5% |
| 雇う | 社会保険料込みで45〜50%未満 | 助成金の入金前に人数を増やす。助成金は後払い |
| 物販を足す | 適正在庫。現金が倉庫に変わる | 分母が増えたので人件費率が下がった、と安心する |
やる/やらない
| 判断 | やる | やらない |
|---|---|---|
| 広告 | 新客とリピートで枠を分ける | 5%を使い切ることが目標 |
| 家賃 | シミュレーションで上限を出す。マニュアルに一律%はない | 人件費の%を家賃に流用する |
| 採用 | 1人あたり売上と総額の上限を先に出す | 忙しいから人を足す |
| 原価 | 設定金額の10%未満 | 高級商材だから超えてよい |
よくある取り違え
- 比率を超えたら違法。違法ではありません。継続しにくい数字です。
- 予約が埋まっている=指標は健全。単価と原価と人件費を見ます。
- 資金シミュレーションと指標が同じ記事。前者は開業前の置き方、後者は毎月戻す線です。
月末チェックリスト
- 施術原価が設定金額の10%未満か
- 人件費(社会保険料込み、一人店なら生活費)が45〜50%未満か
- 広告が5%未満で、新客とリピートに分かれているか
- 物販在庫が目標販売に対して過剰でないか
- 超えた費目について、翌月のメニューかシフトか媒体かを一つ決めたか
次に読む理由
開業前の置き方は資金シミュレーションへ。広告の分け方は集客へ。雇う判断は助成金へ。
3比率の外にある費目を、忘れずに見る
マニュアルが毎月の経費に挙げる消耗品、決済手数料、衛生、保険、通信、光熱、家賃は、3比率の外にあります。家賃に一律%が無いので、シミュレーションの上限で止めます。手数料を広告5%に混ぜないでください。消耗品と衛生を施術原価10%に混ぜないでください。
物販在庫は、目標販売に対する適正です。分母の売上が増えて人件費率が下がって見えても、棚の商品が現金を固定していれば指標は健全ではありません。一人店の生活費は、人件費ゼロにしないで、実質の行に置きます。
超えた月の戻し方(一つだけ変える)
原価超過なら、使用量か仕入れか単価。人件費超過なら、シフトか単価か人数(助成金の入金待ちで増やさない)。広告超過なら、媒体を落とすか、新客目標を下げる。三つ同時に変えると、何が効いたか分かりません。翌月末にもう一度、同じ3線で見ます。
月末15分の手順
- 売上を確定する(POSか台帳)
- 3比率を出す
- 在庫金額を見る
- 超えた行を一つ選ぶ
- 翌月の一手(メニュー/シフト/媒体)を一行書く
- 忙しい実感で上書きしない
忙しい月ほど、3線を先に出す
予約が埋まっている月は、感覚の忙しさが指標を上書きします。先に原価・人件費・広告を出し、超えた行だけを翌月の一手にします。家賃と手数料と衛生は3線の外で、別行のまま見ます。一人店は生活費を人件費行に置き、雇う前に45〜50%の枠が残るか見ます。
忙しい月ほど3線を先に出す
埋まっている月は感覚が指標を上書きします。原価・人件費・広告を先に出し、超えた行だけ翌月の一手にします。家賃と手数料と衛生は3線の外の別行です。
- 3線を出した
- 在庫金額を見た
- 一手が一つ
- 生活費を人件費行に置いた
- 忙しさで上書きしていない
3線の外を月末に並べる
消耗品、決済手数料、衛生、保険、通信、光熱、家賃を、3比率の下に7行で並べます。混ぜると、原価10%や広告5%が意味を失います。家賃に%が無いので、開業時の幅を超えたら物件か人数に戻ります。一人店の生活費は人件費行です。物販在庫は7行の外の、棚の金額です。
超えた月は一手だけ変えます。原価なら使用量か仕入れか単価、人件費ならシフトか単価か人数、広告なら媒体か目標人数。助成金の入金待ちで人数を増やしません。忙しい実感で7行を消さないでください。
- 7行を混ぜない
- 家賃は幅で止める
- 生活費は人件費行
- 一手だけ
- 在庫は棚の金額
日次・週次・月次で手を動かす
チェックリストを壁に貼っただけでは、手が動きません。この記事の範囲だけで、日次・週次・月次に分けます。他記事の作業をこのカレンダーに混ぜないでください。
日次
- 施術原価に入る使用量をメモする
- 決済手数料を広告行に混ぜない
- 忙しさの感想を指標ノートに書かない
週次
- 物販在庫の金額を棚で見る
- 人件費(生活費含む)を途中経過で出す
- 広告円を新客とリピートに分ける
月次
- 3比率を出す
- 7費目を3線の下に並べる
- 超えた行の一手だけ決める
- 助成金入金待ちで人数を増やしていないか見る
月次の最後に、空欄が残った行だけを翌月の一手にします。全部を同時に変えると、何が効いたか分かりません。
指標ノートの1ページ目に書く行
3比率と7費目と棚在庫と一手を、同じページの左から右に置きます。感想の忙しさは右端に書かず、捨てます。一人店は生活費の額を人件費の左に置きます。助成金の見込み円はページに載せません。
- 原価10%未満
- 人件費45〜50%未満
- 広告5%未満
- 7費目を混ぜない
- 一手が一つ
ページが埋まらない月は、POSか台帳の売上確定が先です。確定前に比率を出さないでください。
この記事の範囲で、最後に残す判断
指標は罰則ではなく、翌月の一手を決める線です。3比率の下に消耗品、手数料、衛生、保険、通信、光熱、家賃を並べ、混ぜません。家賃に%は無く、幅で止めます。一人店の生活費は人件費行です。超えた月は一手だけ変え、助成金の入金待ちで人数を増やしません。忙しい実感でページを上書きしないでください。
月末の15分をカレンダーに固定する
売上確定、3比率、7費目、棚在庫、一手、の順を同じ曜日に置きます。忙しい月ほどこの15分を先に取ります。感想は書かず捨てます。
- 確定が先
- 3線
- 7費目を混ぜない
- 一手が一つ
- 生活費は人件費行
最後に残す一手
3比率を出さない月末は、翌月の一手が感想になります。売上確定のあと15分で、原価・人件費・広告と、その下の7費目と棚在庫を並べてください。混ぜると線が消えます。一人店の生活費は人件費行です。超えた行の一手は一つだけです。
手が止まる日の戻し
7費目を3比率の下に並べた写真を、翌月の同じ曜日に見比べてください。混ぜた行があれば戻します。
超えた比率は翌日に1行だけ
原価・人件・広告のどれかが幅を超えた月は、翌日の開店前に、超えた費目名と、翌月に止める一手だけをノートの1行に書いてください。3つ同時に直そうとすると、予約枠まで削って売上側が先に落ちます。
7費目の合計を3比率の下に並べ、混ぜた行があれば戻します。忙しさの感想は、3線の外に出さない。出したら、翌月の一手が広告の増額になります。
3線を先に出す朝
忙しい月の朝は、予約帳より先に3線を出してください。出さない朝は、広告の増額だけが残ります。
カレンダーに月末15分を書く
月末の15分を、予約帳ではなくカレンダーに先に書いてください。書いていない月は、3線が感想に負けます。
まとめ
比率は罰則ではありません。超えたら「なぜか」を翌月のメニューとシフトで戻すための線です。
よくある質問
Q1. エステの人件費率の目安は?
マニュアルでは総売上の45〜50%未満(社会保険料込み)が理想です。
Q2. 原価率は?
施術商材は設定金額の10%未満が理想です。
Q3. 広告は何パーセント?
5%未満が理想です。新客とリピートで予算を分けます。
Q4. 一人店でも人件費は見ますか?
自分の生活費を売上から取るなら、実質の人件費として置きます。
Q5. 家賃の比率は?
マニュアルは費目として地代家賃を挙げています。上限はシミュレーションで出します。一律%は書いていません。
Q6. 比率を超えたら違法ですか?
違法ではありません。継続できない数字、という意味です。
Q7. 物販を増やせば人件費率は下がりますか?
売上の分母は増えますが、在庫と値引きで現金が減ることがあります。
Q8. 次に読む記事は?
資金シミュレーションと助成金です。
Q9. 家賃の理想比率は何%ですか?
マニュアルは地代家賃を費目として挙げるだけで、上限%は書いていません。シミュレーションで出します。
Q10. 消耗品と衛生費は原価に含めますか?
マニュアルは消耗品費と衛生費を別費目にしています。施術商材10%と混ぜないでください。
Q11. 決済手数料は広告ですか?
支払手数料として別行です。広告5%に含めません。
Q12. 比率は個人も法人も同じですか?
マニュアルの理想はサロン運営の目安です。法人の勘定科目の作り方は税理士へ。
Q13. 保険料は売上の何%ですか?
マニュアルに%はありません。見積と補償範囲で置きます。
Q14. 自分の生活費は何を含めますか?
店から出す家賃の一部、食費、社会保険料の個人負担など、実際に売上から取る額です。家計と混ぜすぎないよう、一行にします。
Q15. 家賃の理想比率は何%ですか?
マニュアルに家賃の理想%はありません。地代家賃は費目として挙がるだけです。開業時のシミュレーション幅で止め、超えたら人数か物件に戻ります。人件費の45〜50%を家賃に流用しないでください。
Q16. 決済手数料は広告5%に入れますか?
入れません。支払手数料は別行です。混ぜると広告の上限が意味を失います。クレジット等の手数料は月次の経費列挙にあります。
Q17. 消耗品は原価10%に入れますか?
入れません。施術商材の原価と、使い捨て等の消耗品費は別です。衛生(クリーニング等)も別行です。混ぜると10%の線が見えなくなります。
Q18. 一人店の生活費はどこに置きますか?
人件費行です。人件費ゼロにして広告だけ5%にすると、手元が先に尽きます。店から実際に出す額を一行にします。
Q19. 物販を増やせば人件費率は下がりますか?
分母は増えます。棚の在庫が現金を固定していれば指標は健全ではありません。適正在庫を、3比率の外の金額として見ます。
Q20. 超えた月は何を同時に変えますか?
一つだけです。原価なら使用量か仕入れか単価、人件費ならシフトか単価か人数、広告なら媒体か目標人数です。三つ同時だと何が効いたか分かりません。
Q21. 助成金の入金月は人件費率をどう見ますか?
入金を待って人数を増やしません。後払いでも、その月の給与は店の負担です。比率は入金前の売上と人件費で見ます。
Q22. 忙しい月は指標を省略してよいですか?
省略しません。埋まっている月ほど感覚が上書きします。先に3線を出し、感想はノートに書かないでください。
参考文献・出典
- サン・ティトル美容経営ラボ「サロン開業マニュアル(2026年改訂版)」
- 猪越理恵プロフィール(サン・ティトル株式会社 / サン・ティトル ビューティーアカデミー)
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監修:猪越理恵(サン・ティトル株式会社 代表取締役 / Chief Beauty Officer、サン・ティトル ビューティーアカデミー校長。美容キャリア30年、指導歴17年以上。講演・講義を含め5,000人以上の人材育成に従事。プロフィール)
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